わたしの恋人
- 2018/08/06
- 23:12

偶然保健室で居合わせた女子に一目惚れした龍樹。しかし、その女子は家庭環境のせいで恋愛については不信感に溢れていた。
「ぼくの嘘」を読む前に読まなけければならなかった作品。もうどっちが続編なんだか。
著者/藤野恵美 カバーイラスト/今日マチ子
あらすじ
高校生の古賀龍樹は両親の仲の良さに辟易としていた。いつになっても出張の度に熱烈なキスをして別れる。これが普通なのでは無いという事に薄々気づきつつあった。
サッカー部の龍樹はいつも通り練習に出るがその日は練習で負傷してしまう。先輩の勧めで保健室に行くと養護教諭はおらず代わりに女生徒がベッドで眠っていた。龍樹はその女生徒の可愛らしいくしゃみを聞いて恋に落ちた事を自覚する。
読む順番間違えても大して変わらないだろうと思ったけどちゃんとこっちを先に読むべきだったなぁ。読む前と読んだ後で続編の主人公笹川の見方が変わる。笹川もせつなが好きな癖に結構全力で応援していたんだな。笹川良い奴かよ。匂い嗅いでた癖に。しかし、まさか森さんの家庭環境に闇があったとは…
いい歳になっても両親が仲睦まじい家庭に育った龍樹と父が浮気して母がヒステリックなせいで喧嘩が絶えない環境で育ったせつな。重くしようすればどこまでも重くなりそうな設定だけどそこまで重くなかった。前に裕福な大学生と貧乏な美人の恋愛小説で最後心中する小説読んだな…重くなくてよかった。
ぼっちでも生きてく事は問題無い筈だ。誰にも頼らずに一人でなんとかすると努力するのも問題無い。問題は不意に人と関わってしまった時に簡単にその決意が揺らいでしまうことがあるんだよなぁ。なんでそんな事がわかるんやろなぁ。不真面目にやってきたせいですね…青春恋愛小説でぼっち部分に共感してしまうのはマズイのでは…
明確な幸福な対象物があると今まで日常だと無理やり納得していた事もはっきりと異常なんだと自覚してしまうから困る。わざわざダメージを負っていることを自覚して生きてくのは辛いからな。だからなんでキャラクターの負の側面にだけ共感してんだよ。
全編を通して龍樹がせつなの事好き過ぎるなぁという感想。一目惚れって凄い。龍樹チョロ過ぎだろとは思うけど別に好きになる理由なんてなんでもいいよな。むしろ好きになる理由なんて無くてもいいまである。好きなんだからしょうがない。
高校生の爆発力って家庭の事情すらもふっ飛ばせそうなんだから凄い。