時給三〇〇円の死神 感想
- 2018/10/04
- 19:54

時給300円…フルで働くと8(時間)×22(日数)×300(時給)=52800
やべえな時給300円。ブラックがホワイトに見える待遇。やっぱ死神ってろくなもんじゃないな。どんな死神が出てくるのか知らないが。とりあえず来世は死神以外がいいな。
著者/藤まる イラスト/afterglow
あらすじ
とある事情から借金まみれの高校生、佐倉真司の自宅に突然クラスメートの花森雪希が押しかけてくる。花森は佐倉に「死神のアルバイト」を誘いに来たという用件だった。アルバイトの内容は未練を残したままこの世に残る死者をあの世に送りこむ事だった。時給は300円で待遇は最悪だが半年間勤め上げればどんな願いも1つ叶えられるらしい。
佐倉は宗教の勧誘としか思えなかったが前払い即採用という言葉に惹かれ契約書にサインしてしまい…
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あの世とこの世を扱う作品を読むと最後までハラハラするから困る。悪いのはシックスセンスとかいう映画。あれが大体の原因。初めて見た時に受けた衝撃は計り知れない。あの頃はピュアだった…
どんな死神が出てくるのか思って身構えていたけれどノート触ったら見える林檎が好きな奴とかフード被って鎌持ってる奴とかそういう類のものは出てこなかった。むしろ、学生の主人公が死神として職務を遂行する物語だった。皆、何かしら未練がってとどまっていた訳だけれどそもそも未練無く死ぬとかめちゃくちゃ幸福か厚顔無恥な奴じゃないと無理だろ。つまり、人の顔色伺ってばかりの自分はこの世にとどまる可能性が高い。はぁ、死にたくないけど老いも怖え。かといって不老不死もしたくねえ。何これ煩悩だらけってレベルじゃねえぞ。
デジャヴの反対でジャメヴというワードがあるなんて知らなかったぞ…既視感はモヤっとするけど未視感は楽しそう。あんまり未視感ばかりだと困りそうだけど。
ラノベ読みまくりマンとしては何の問題無かったけどラノベ、キャラ文芸らへんを一切読まない人には文が合わないかもしれない。特に序盤の展開は結構ラノベっぽいなぁと感じた。これも広義のライトノベルなんだろうけど。自分は好きだったけど佐倉と花森の会話劇は好みの分岐点になると思う。
最初は幸福だと感じていた事もそれが続くと幸福では無く日常の一部になってしまう。それが幸福な事だったと再度認識するのはそれを失った時だから困る。人間の慣れとは恐ろしい。もう一度、日常の中の幸福を再確認した方がいいのかもしれないと思った。読んだ後にそんな事考える作品。
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