キミのこと黒歴史もまとめて……ぜーんぶ大好きだよ 感想
- 2019/01/28
- 19:27

黒歴史っていうのは自分が成長するにつれて起こる、価値観の変化の果てなんだろう。尖ってた当時の自分が正しい、カッコイイと思っていた感覚が年を取るにつれて、かっこいいとは思えなくなってしまう。むしろ尖りが取れてできるだけ目立たないように生きようとする。果たしてそんな摩耗した大人になるのことは正しい成長と呼べるのか(中二病)
著者/音無白野 イラスト/魚デニム
あらすじ
「先名くんのことが好き……私と付き合ってください!」
過去に特大級の黒歴史を持つ俺はある日、男子人気も高く、
付き合えば勝ち組確定な少女・館崎栞奈に告白された。
「確か『リファレンス』って名前を使って、ネット上で論争を繰り広げてたよね!
あの頃はわたしも掲示板で暴れていたから……いっしょだね」
俺の忘れたくてたまらない過去を知ってる上にこいつも暴れていたのか!?
やむを得ず断ると――
「じゃあ、お願いがあるの。わたしを――先名くん好みの女の子にして下さい!
キミになら何されてもいいから……」
互いの黒歴史を知り尽くす二人の、相性ぴったり青春ラブコメ!
ネットヘビーユーザーの主人公とネットヘビーユーザーのヒロインのラブコメ。スクールカースト要素を取り扱う作品は増えたけどここまで直近のネット文化を混ぜ込んだ作品は珍しいと思う。特にマウント文化についてはよかった。アレほんと難しい。マウント取ってる奴に対して「そんなにマウント取ってどうするんだよ」って思ってもそれ自体がマウント取ってるし。やはり、無関心こそが最強。もしくは悟りの境地。やっぱ釈迦ってすげーわ。俺もそのうち悟りを開いて、そして開いてない人類全員にマウント取ろう。
掲示板の時代からSNSの時代なんだなあとひしひしと感じる作品だった。そして同時に中学生の頃にスマホとSNSが無くてよかったとも思えた作品だった…
ネットは陰の物が使い、住処とする時代は終わり、陰も陽を隔てなく当たり前のように使うようになった昨今。
陽の人間の知り合いがいないから実際の所はわからないけどあっちの人間もネットで黒歴史作ったりするのだろうか。完全に偏見だけどYouTubeの文字垂れ流し動画を真に受けて仲間内で共有とかしてそう。自分もネットに書いてある事は全て本当だと思い込んでた時期があるから自分も潜在的陽キャなのかもしれない。絶対違う。あの心理なんなんだろう。大衆に流れてる事は嘘で一部の人間が知ってる事こそが真実みたいな中二病の極地。どっかの大学の教授とか解説してくれないだろうか。
最近読む作品でやたら遭遇しまくる何故か主人公に惚れる上位カーストの金髪ギャル系のサブヒロイン。あれ、普通にストライクだから勘弁して欲しい。ぜってぇメインヒロインに勝てないし無駄にいいとこまで行くから困る。この作品の狩野あすかも大変よかったです…
最後は主人公、先名が正統派主人公していたのが驚いた。なんやかんや館崎と今後もキャッキャウフフでネット民らしく日陰でよろしくやるぜ!的な感じで終わるのかと思ってたら普通に前に進んどったわ。先名も自爆してたけどネット民の正論風他者批判はたいてい自分にも刺さるから困る…批判が自分に刺さらない完璧スーパーマンはそもそもネットでネチネチ叩いてないんだろうなぁ。これが陰キャの性か…