千歳くんはラムネ瓶のなか 感想
- 2019/06/18
- 23:41
ガガガ文庫サイドが勝手にメチャクチャハードル上げてた作品。第13回小学館ライトノベル大賞、優秀賞受賞らしい。
友崎くん俺ガイル系の新鋭です!的なツイートをやたら見た気がする。その2つの信者としては見過ごせない訳だがやっぱりハードル上げ過ぎやろ。つーか、友崎くんと俺ガイルって系統似てなくない?(カテゴライズにうるさいめんどくさいオタク思考)
多分、クラスの空気と戦ったりカーストバトルかあるんだろうな、知らんけど。
ぶっちゃけ、最初は買う気無かったのにガガガ文庫公式が作者だったり編集?の宣伝をリツイート爆撃することによって次第に脳が洗脳されてしまい「あー、そろそろ発売日かー。じゃあ探しに行くかー」という風になっていた。
おのれ…刷り込み教育…!おのれ…サブリミナル効果…!おのれ…ガガガ文庫公式…!
著者/裕夢 イラスト/reamz
あらすじ
主人公は、超絶リア充。
『五組の千歳朔はヤリチン糞野郎』
学校裏サイトで叩かれながらも、藤志高校のトップカーストに君臨するリア充・千歳朔。
彼のまわりには、外見も中身も優れた友人たちがいつも集まっている。
圧倒的姫オーラの正妻ポジション・柊夕湖。
努力型の後天的リア充・内田優空。
バスケ部エースの元気娘・青海陽……。
仲間たちと楽しく新クラスをスタートさせたのも束の間、朔はとある引きこもり生徒の更生を頼まれる。
これは、彼のリア充ハーレム物語か、それとも――?
ネタバレ注意
いつか、どこかで変化球があるんだろう。その変化球がどんなものなのかが気になって読んでいた。理想の男友達と思っていた奴が実は美少女でしかも謎の怪物と戦っていたり、自分を導いてくれるパーフェクトヒロインがあからさまに心に闇を抱えていたり。ライトノベルってそういう要素あるじゃん…でも、今回はそういうのがガチで無かった。そういう要素が排除されたスーパーリア充とその仲間達の物語とか逆に変化球だわ。
仮に朔、夕湖、優空、陽ら全員が実は心に闇抱えていたらラノベ的にはストレートなんだけどこの完全無欠の青春物語にはそんな雲行き怪しくする要素は似合わない。
これライトノベルだよ?最上位カーストのリア充とかライトノベル読む層と真逆よ?陰の者の成り上がりでも美少女と謎の部活でも無くてクラスの頂点に君臨する主人公とその取り巻きの眩しすぎる青春物語とかやべーだろ。やってるわガガガ文庫。
スーパーリア充の日常とか自分にとってはマサイ族の日常と同じレベルで未知の話なのでそんな物はディスカバリーチャンネルとかNHKスペシャルで見るものであって、ライトノベルでわざわざ読むものではないと思っていた。しかし、熱中して読んでしまった。そして、面白かった。俺の負けだ存分に屠れ。
そもそもリア充って何なんだろう。今風だとナイトプールでタピオカミルクティーを飲んでそれをインスタに上げればリア充なのかな。多分違う。
ライトノベルだとやっぱり、山崎側の人間が主人公で完全無欠の千歳側は主人公の敵だったり、対比要員になる事が多くてそんなサブキャラの内面描写なんて勿論無い訳で、リア充のモノローグというのは凄く新鮮だった。
陰キャ達がどうすれば集団で浮かないか葛藤するようにリア充にはリア充なりの悩みや葛藤がある。生きているのに悩み無いとかそれもう脳が死んでるか見ない振りしてるだけだろ。
どんな完璧な人間でもストレスフリーに生きられないとかやっぱり人間って不完全だわ(哲学)
千歳くんや夕湖の陰キャラ、オタク特有のネガティブ思考に対する分析が的確すぎてセリフがいちいち説教されている気分になったんだが?ほんとに読んでグサグサ来た…
友崎くんの1巻が脱陰キャのバイブルのようにこの巻は…脱捻くれ根暗クソ虫のバイブルとかそんなとこだろうか。
2巻が出る可能性があることはとてもウェルカムなんだけどいったい、どうすれば千歳くんの物語のゴールなんだろう。ラブコメ定番の彼女出来たら終わり!は無さそう。
非リアにとって交際相手が出来るというのは驚天動地の事件なんだけどリア充達の彼氏彼女ってルーティーンみたいなもんじゃん。つまり、終着点ではなく日常の一部な訳ですよ。うーん、ゴールがわからん。
大学生編社会人編と続いて最終的に会長千歳朔で完結かな。つーか、島耕作いつの間に会長になってたんだよ…
完全無欠の美男美女の青春物語という眩しすぎて失明しそうになるライトノベル。これはこれで凄くありだと思いました。