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愛なき世界  感想



 久しぶりのハードカバーの作品。本屋大賞発表された時に気になって買ったから随分長い期間を積んだなぁ。もう10月下旬だよ。本なのに買って満足する病にかかりつつある。


 植物は喋らないし感情も無い訳だけれど、植物に毎日話かけると成長がすすんだり花が咲いたりするって話あったやん。アレってどうなったの。物凄く非科学的な話だし、ありえないとは思うけど本当にそうなら面白いと思う。


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 この作品を1つ生み出すどのくらいの期間がかかったんだろう。
 登場人物の作り込みがエグい。キャラクターの性格、エピソードや過去がまるで実際に存在する人から伝聞したようなリアリティを持っていて恐ろしい。舞台が大学院で専門的な知識が凄く必要だしマジでどうなってんだ。作家ってほんと凄いと思った。


 ガッツリ大学院の研究話だった。2/5くらいは料理人の藤丸視点。3/5は大学院生の本村視点。作品紹介を読んだときは、視点が変わるとは思わなかったから驚き。料理人藤丸がいかに四苦八苦しながら本村に想いを伝えるのかと思ってたら全然違った。
 いや、これは最初から最後まで藤丸が主人公の恋愛小説だと思うでしょ…

 予想とは違ったけど普通に面白かったから困る。自分は文系だったし大学院にも行かなかったから理系の大学院という未知の領域が舞台で楽しかった。

 藤丸が真っ直ぐ過ぎてちょっと不憫。ただ、上手くいかなかった事が逆にリアルで、本村の植物に対する愛の重さの証明と覚悟なのかもしれないと思った。


 要は「愛」ってなんですかって話よ。
「愛」って言われると「恋愛」のイメージが自分の中では強いけど、研究への情熱も、仕事への真剣さも、人を動かすエネルギーは皆、「愛」と呼んでも差し支えないよねっていう。もっと知りたい、もっとわかりたいと思ったらそれはもう愛なのかもしれない

 但し、「愛を持って接したつもりだった。」「かわいがってきただけに残念」とか言い出す奴は愛ではないから注意。



 植物自体には感情が無くてもそこに携わる人たちは愛に溢れている。愛なき世界は愛に溢れている。そんな話だった。

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