今夜、世界からこの涙が消えても 感想
- 2022/08/21
- 13:06

「今夜、世界からこの恋が消えても」の続編らしい。あっこからどうやって続けるんだと思ったら、真織の親友だった綿矢泉視点になるそう。
あの作品、映画化したらしいな。見に行きたいけど、あの作品って、一人で没入して一人でじっくり味わう作品だと思うんだよなぁ。周りに他の鑑賞している人がいても集中できるだろうか。映画館という場所で見れるのは凄くいいと思う。
初見で「今夜、世界からこの恋が消えても」を読んだ時はボロボロ泣いたからな。ガチでボロボロ泣いた。公共の場で泣くのは憚られるでござる…
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今夜、世界からこの涙が消えても 感想 ネタバレ注意
綿矢泉の物語でしたね。泉も泉で、本気で親友の彼氏の神谷透に恋していた。だから、透を失った傷は計り知れない物で、それを抱えて生きていた。
親友の恋人かぁ…ちょっと友達がいないので親友というものがなんなのかよくわからないですが、その親友が大切であれば大切であるほど苦しみが大きくなりそう。
傷つけてもいい、どうでもいい人間ならば略奪的な方にも動けるけど、本当に大切ならば、その人の幸せを壊すなんてもっての他なわけで。
知らんやつだから、略奪愛もありやろって考えもどうなのって感じはするけど。仮に略奪した所で、簡単に心変わりする人間を今度、自分は信じられるのかという疑問もつきまといそう。でも、刹那的に生きるからなぁ人間。今が全てよ。
自分の気持ちを伝える事もできず、大切な人を失った気持ちを大学生でもなお、引きずる泉。
無責任な奴らがどんな傷も時間が解決するなんて言うが、そんな事は無いだろ。
時間の経過に比例して心が摩耗して、その感情を思い出せ無くなることを解決なんて呼んでいいのだろうかと思う。
感情を失ってしまう事が悲しい事だと思う。
痛みも悲しみも苦しみを自分で獲得したもの何だから誰にも奪わわれたくない。自分の忘却という機能にすら。
W主人公ではないけど、綿矢泉に恋して、条件付きで交際を許可された成瀬透。
本気で好きにならないとか無理無理カタツムリよ。悩みを打ち明けて貰えず、停滞を強要され、唐突に振られるとかこっちが病みそう。そのお陰で、コンプレックスを克服する事は出来た訳だけど、場合によっては泉バリにメンタルブレイクよ。
あーでも、例え一瞬でも好きな人と恋人になれたらそれはそれでいいのか?うーん、わからん。
因みに前作のラストに真織が記憶の底を引き出して、透を描く描写があったと思うけど、今作はそれ以降の真織の描写は無いです。同じ場面が違う視点で描写されて終わりです。
前作と変わらず、優しい物語だった。神谷透は出てこない。でも、神谷透が与えた影響を受けて生きていく人たち。前作みたいに泣く事はなかったけど、前に向ける作品。