汝、星のごとく 感想
- 2023/05/22
- 22:36

久々にラノベじゃない作品を読む。「ザリガニの鳴くところ」とか長期間積んでるけど気にせずこちらを読む。
新聞の広告かなんかで知った作品。高校生が主人公っぽいのとタイトルがカッコよかったから買った。もうちょい何かあるだろ。
流浪の月も読んで見たくはあるけど、まだギリ買うには至ってない。読まずに積みそうってのはある。
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汝、星のごとく 感想 ネタバレ注意
父が浮気をし、家に帰ってこなく事により病んでしまった母を持つ暁海。男を追いかけては捨てられるを繰り返す母を持つ櫂。
どちらも家庭に問題があり、行き場の無い感情を持つ二人が惹かれあう。
ストーリーは高校編と社会人編の2つ。社会人編の方が長い。
表現が豊かで想像しやすい本だった。何となくイメージできる都会と村社会の空気感の隔たりを「半透明な薄膜」なんて言語化されたら納得せざるを得ない。
ラノベだったらぶっ叩かれそうなリアリティある展開がキリキリした。遠距離恋愛なのに割とすぐ都会で女作るとかそらもう。しかも、彼女の親が浮気が原因で離婚して現在進行形で苦労しているというのに。
本命は暁海のままなのにナチュラルに女を作る辺り割とクズ。思えばこの時点で二人は対等では無かった。櫂は浮気してたけど、経済格差を盾にはしてなかったんだよな。暁海サイドからしたら引け目を感じるのはそりゃ避けられないけど。
こちらが想定してる事なんて丸で当たりやしない。
マイナスの想像が外れてしまっているのはこんなにも悲しいことなのか。
悪い想像する事はなんの為なのか。疑うためなのか、それとも事実を知った時にダメージを和らげる為なのか。自分は後者の場合が多い。例え想像通りでも和らぎなんてしないのに。想定は出来ていたという強がりが出来るだけ。
櫂が東京で浮気していたことは事実だし、そこが発端になってるのは間違いないと思う。
浮気がわかってしまったら、嫌な想像は止まらないだろうし何かある度に疑うだろう。ましてや遠距離恋愛。
だからこそ、理想を求めるならぶつからないといけなかった。
だって、親生まれの環境で惹かれ合った二人が親の状況のせいで本音を言い出せないとするなら、最初から破滅が決まっているかのようで悲し過ぎる。
プロローグが引っ掛かりすぎて、本編を読みながらプロローグだけを5回くらいは読み直した。後半は何かが決定的になる気がして読み返せなかった。最後に強制的に読むんですけどね!最後に読むプロローグと最初に読んだプロローグは印象が全く違うのは確か。最初は「まっずい、これ…」って感じだけど、最後はどこまでも清々しい。
開幕数ページで「奥さん公認の浮気」とかいうパワーワードが出てきてたまげるよね。高校生の物語とは…ってならん人おるんか。
終わりよければ全て良しというが、これで良かったのだろうか。勿論、今生の別れというのBADに分類されるし、個人的にはどんなに過程が美しくても全く好きではない。
ただ、暁海と櫂に関しては死別してしまったとしても、最後にもう一度通じ合うことが出来ただけで救われたような気分になった。
普通にあのまま再会出来ずに死後に知って最期まで悔やむ展開だと思ったし…そっちのルートの方がリアリティがあって嫌すぎる。
櫂のお母さんが最期までクズだったのがリアリティあるなぁ。
北原先生に関しては聖人に見えるけど、やっぱり何処か欠落しているんだろうか。自分の再会を見越して暁海を行かせたのか、それとも本心で行かせたのか。結ちゃんは物分り良すぎだろ…この作品で1番達観してるまである。
こういうクオリティ高杉晋作な作品に出会ってしまうとひたすら読書してるだけの日常に陥りたくなる。でも、現実はクオリティの高い作品を探すだけで時間が消えるんだよなぁ。読むしかねえのか流浪の月。
自分の人生はやっぱり、自分のやりたい事の為に生きるっていう当たり前の事を意識しないと駄目なんだなと思った。
他人に尽くす事や、誰かを助ける事があってもいいし。ただ、それが本当に自分のしたいことでは無いといけない。人生は短いから、何を始めるにしても出来るだけ早いに越した事は無いのはわかってる。残された人生で一番若いのは今なのだから。
一体、自分のしたいことは何なんだろう。
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