私を知らないで 感想
- 2018/05/02
- 15:55

やたら達観した中学生が主人公だけど自分には刺さった作品。
中学生辺りってそれがどれ程悪い事なのかを自覚してないからこそ起こる邪悪があるような気がする。イジメ問題も起こしてる本人達は問題を過小評価してるこそ発生するんじゃないかとか思ったり。
著者/白河三兎
あらすじ
主人公の黒田慎平は父の仕事の都合で横浜の中学に転校する。転校に慣れている黒田は転校生としての立ち回りを理解していた。クラスのボスには喧嘩を売らない程度に舐められない、過度に出しゃばりすぎない、東京に居た事ひけらかさない等々。
だいたいのクラスメイトの立ち位置を把握するが一人、誰とも喋らず「キヨコ」という蔑称がついてる少女がいる事を知る。キヨコには良くないない噂が流れておりクラスから無視というイジメを受けている状態だった。目立つ事を嫌う黒田もあまり関わらないように心がけた。
冬休み明けに高野という転校生が東京がやってくることで話は動いていく。高野は黒田と対照的で物怖じしない人物で熱血漢のようなところがあった。黒田と高野は転校生同士という理由で何かとくっつけられてる内に友情が芽生えてくる。当然高野に目にもキヨコは止まる。高野に噂を話すと憤り「町に染まってない俺達でキヨコを救うぞ」言いだし…
序盤は最近よく見るスクールカースト物なのかと思ってたけど違った。言うほど最近の作品でもない。もっと深い所に重点が置かれていた。
どういうラストが一番ベストだったのかはわからない。キヨコの願った物は叶ったしハッピーエンドなんだろうけど切なさも残った。キヨコの「だから嫌い」というセリフは後半になればなるほどよかった。
登場した時は嫌味に見えた高野の評価がうなぎ登りだった。基本的にアホだけどむしろあれこそ中学生の気がする。黒田もキヨコも達観しすぎ。どちらも重い過去から来てる物なんだろうけど。
「私を知らないで」というタイトルは最初、「私の事をよく知らない癖に」という意味だと思ってたいたが半分正解で半分はずれだった。きっと別の意味もあった。
やっぱ普通に生活できることって素晴らしいんだなと思わせてくれる作品だった。
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