海の仙人 感想
- 2018/05/10
- 21:28

宝くじを当てた会社を辞めた男が静かに暮してるとこに神様がやってきて動く物語。
著者/絲山秋子
あらすじ
主人公の河野は宝くじ当選を機に東京での仕事を辞め敦賀でスローライフを過ごしていた。そんな河野の元にファンタジーというの名の神様がやってくる。ファンタジーは居候させろと言って同居生活が始まる。
ファンタジーは結局なんだったんだ…人間はじゃなかったんだろうけど本当に何もしてねぇ…そこにいるだけで良い空気は生まれていたのは確かだけど。喋り方がおもしろかった。
河野の周りはキャラが濃い人物が多いな。トラウマを植え付ける姉、恋人かりんとアルファロメオを乗り回す片桐、そして何もしない神様ファンタジー。
150ページちょっとなのに濃い一冊だった。悲しいムードではあったけどそこまで悲しみに暮れるレベルの終わり方では無かったように感じた。確かに希望を残した終わりだと思ったけどこれは人によるのかな。
ゆったりとした水面のような小説。基本的に暖かただけど時おり刺すような冷たさもあった。特に河野の社会に対する不器用さや片桐の切ない想い。たぶん恋愛小説ではないけれど愛の描写は随所にあった。これが文学か…
文学に触れたような気になった小説だった。