真夜中の五分前―five minutes to tomorrow〈side‐A〉 感想
- 2018/05/22
- 22:33

どこか壊れた主人公と一卵性双生児で何から何まで同じ妹がいる双子の姉の物語。
その人がその人であると確定する為に必要な要素はなんなのか。
著者/本多孝好
あらすじ
広告代理店に勤める主人公の「僕」。どこか壊れていて今の彼女ともそろそろ終わりだと他人事のように冷めた目で見ていた。そんな頃、プールで一人の女性と出会う。女性は日比野かすみという名前で電機メーカーに勤めいた。かすみには一卵性双生児で双子の妹ゆかりがおり、かすみと全く同じ遺伝子を持っていた。
これアイデンティティとか自己同一性とかそういう話かと思ったけどそうでもない。これジャンルはなんなんだ。ミステリー気味の恋愛小説のようなイメージ。
遺伝子が近すぎるとクローンのようになる可能性もあるのか…
ある日、自分のクローンが現れて1日だけ変わりにクローンが生活しても誰も気づかなかったら精神が崩壊しそう。
途中で出てきた、金で買えないものに価値は無い→価値に換算出来ないから金で買えない→金で買えない物は価値は無い。という恐ろしい考え方。暴論で極論だけどどこか通ってるようにも思えた。
でも、物々交換の時代は終わったしお金が価値を計る絶対的な基準なのはわかるけどお金だけで計れない物も存在してるのも確かな筈。
物に対しても人に対しても好きという気持ちは確かにあった筈なのに雲散霧消する事はよくある。あの気持ちはどこへ行ってしまったのだろう。そして、どうして消えるのだろう。主人公もそんな事で苦しんでいた。
自分を捨てるってそんな簡単な事なのだろうか。
本多 孝好 新潮社 2007-06-28
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