スロウハイツの神様(下) 感想
- 2018/06/20
- 01:13

ドラマのような小説スロウハイツの神様、下巻。かなり分厚い476ページ。
著者/辻村深月
あらすじ
赤羽環と衝突しスロウハイツから出ていったエンヤ。そしてエンヤの居た部屋に新たな住人として加々美莉々亜がやってくる。莉々亜は事件の責任を感じ当時ドン底だったチヨダ・コーキを投書で救った「コーキの天使ちゃん」だった。
莉々亜はコーキ以外の住民には基本無関心でコーキの部屋に入り浸る生活をしていたが事情が事情なだけに皆はそれを受け入れていた。そんな時、スロウハイツに環に落雷を落とすかのような郵便物が届く。
終盤でちょっと泣いた。ただでさえ不器用な公輝が1人の為に動こうとする姿は心に響いた。
上巻を読んだイメージは青春群像劇だったけどこれは青春群像劇且つ大恋愛小説なのかもしれない。
470ページもあるのになんだかあっという間に読んでしまった。怒涛の伏線回収でページを捲る手が止まらなかった。想像以上に伏線が散りばめられていて登場人物の会話が大体伏線だったんじゃないかと思うレベル。
作中のチヨダブランドの作品のように自分もそのうち今読んでる作品群に年齢を理由に読まなくなったりするのだろうか。そしてそれは「成長」と呼ばれている代物なのだろうか。これがピーターパン症候群と呼ばれる奴なのかは知らないけど好きだった物を上から目線で貶して脱却する「成長」なら要らないとすら思ってしまった。
スーの途中の描写は危なかった。一種の狂気のような恋。しかし、自分は熱に当てられてそのずれた方向に気づけない。本人は幸福だと信じてるけど周りからは破滅に一直線に進んでるとしか見えない。ああいうの十代の特権なのでは。
環は強い人物。自分に自信があって自分が正しいと揺るがない。好きな人が何かを我慢する位なら自分の事は厭わない姿勢。本当に強い。カッコいい。
そして、あいつはピエロだったのか。黒木の何かも利用しようとする商魂は恐ろしい。ああいうタイプの人間には過去に遭遇したことあるからなんだかなぁ。
公輝は今後も「お久しぶりです」の意味を環に言わないのだろうと思うと少し侘しい。
共同生活が終わって巣立って行ったけどそれでも大団円だから良かった。あのメンバーは死ぬまで離れず仲良くいて欲しい。
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